会社設立に必要な手続きと4つのメリット・デメリットとは?
「いつかは自分の会社を持ってみたい」とうことを目標に現在起業の準備している方は多くいらっしゃるかと思います。
いつまでもサラリーマンでは稼げるお金も自由になる時間もどこかで限界がきます。そんな夢のない人生はつまらないですよね。
自分の上司に5年後の、10年後の自分を見てしまい、ふっとため息をついてはいませんか?
そんな人生嫌だ!と起業を夢見て色々調べてみると、成功する人もいれば失敗する人もいることがわかり、実際の行動に移すのが難しいのが現状だと思います。
自分で会社を設立し経営すれば、稼げるお金も自由になる時間にも限界がありません。もちろんリスクもあり、成功するかもわかりません。
それでも会社を設立してチャレンジする人が日々スタートを切っています。
今すぐ後に続きたいと思ったあなた!会社を設立するにはどんな手続きが必要か知りたくありませんか?
会社設立の4つのメリットとは?
メリット1 取引先などからの信頼を得られる
新規の取引など仕事ができるできないに関わらず個人事業主だからNGという企業もまだあります。
せっかくの取引のチャンスを無駄にしてしまい悔しい思いをする方もいるようです。
しかし法人となっていれば社会的信頼があるので、新規の取引などもスムーズに行きます。
また法人化することにより1度の取引額が大きくなることもあります。
メリット2 節税できる
所得税は累進課税がかなりきついので、所得が増えれば触れるほど収めなければならない税金の額は上がっていきます。
しかし所得を分散しておけば低い税率で抑えたまま利益を処分することが可能になります。
また個人事業主の時は認められなかった経費も会社の費用が経費として計上できます。
メリット3 融資や資金調達がうけやすい
個人では融資の審査も厳しく、融資額も限られてしまいますが、各銀行などは法人向けの融資商品も多数あり、また金額も大きくなっています。
メリット4 求人募集が集まりやすい
人手が足りなくなったとき、個人事業主ではまず人は集まりにくいでしょう。しかし法人であれば、条件・勤務地が合えば多数の募集があります。
仕事を求める側は安心して働ける職場を求めていますので、知り合いを採用するのではなく広く人材を集めたい場合は法人化しておいたほうがよりたくさんの人材が集まるでしょう。
会社設立の4つのデメリットとは?
デメリット1 税務申告の手間が増える
個人事業でも確定申告や、青色申告がありますが、法人の税務書類の作成は個人のものより複雑で作成の手間もかかります。
また税務申告書類の他にも、勘定科目内訳書や法人事業概況書などの作成が義務付けられています。
これらを税理士などに代行してもらうことももちろん可能ですが、その場合には費用もかかってきます。
また赤字でも「均等割り」の納税は必要となります。
デメリット2 社会保険の加入義務
個人事業の場合には従業員5人未満の場合は社会保険の加入義務はありません。
しかし法人化すると報酬を受けている人が一人でもいれば強制的に社会保険の加入義務が生じます。
具体的には役員や従業員に対する社会保険料の半分を負担する必要が出て来ます。
デメリット3 お金の使途が厳密になる
個人事業主の場合には事業用の口座であっても、個人の出費のためにお金をつかうことは問題となりません。
しかし法人の場合には、解説した法人用の口座から「ちょっと現金が足りないから」などの理由で私的なお金を引き出して使うことはできません。
仮にやってしまうと、給与や貸付金となり税金がかかったり返済義務が生じます。
デメリット4 事務手続きが増える
- 労働保険年度更新
- 算定基礎
- 源泉税納付
など年間でいくつもの事務手続きをしなくてはいけません。0円でも変更なしでも申告が必要なものが多いので、必ず毎年申告が必要になります。
まずはメリット・デメリットを確認して、会社を設立するか考えてみましょう!
会社設立に必要な手続きと書類とは?
手続きを始める前に
【定款作成前に決めておく10の項目】
- 会社名(商号)
- 事業目的
- 本店所在地
- 資本金
- 資本金を出す株主の構成
- 期間設計
- 事業年度はどうするか
- 会社の印鑑
- 印鑑証明書
- 設立費用
会社名について
会社名(商号)については会社法および商号登記法に則って決める必要がありますが、一定の制限はあるものの原則として自由に会社名を付けることができます。漢字、ひらがな、カタカナ以外にも、ローマ字(ローマン、アルファベット)、アラビア数字、&等一部の符号の使用も出来ます。しかしギリシア文字、キリル文字、@等の他に漢数字「〇」の使用は出来ません。
【商号の選定に関する制限】
- 商号単一の原則(同一営業において同一営業所では複数の商号をもてない)
- 株式会社、合資会社など、会社の種類を商号に入れる
- 異なる会社の種類だと誤認される文字を入れてはいけない
- 他の会社だと義認される恐れのある名称,商号を使用してはいけない
事業目的
「事業目的」は、定款の中の絶対的記載事項と言い、必ず記載しなければならない事項とされています。その定款自体も、会社法と言う法律によって、会社を設立する際に、必ず必要です。
つまり、定款の中の絶対的記載事項である「事業目的」の記載がないと会社を設立出来ないということとなります。
詳しくは「もう悩まない!「定款の事業目的」の書き方と注意点」を参照してください。
本店所在地
本店所在地については、自宅にするのか、新たに事務所を借りるのか、レンタルオフィスにするか、コワーキングスペースにするか等いくつかの選択肢があります。
資本金について
資本金を誰から調達するか・誰が出すかで期間設計が変わります。一般的に資本金を全て創業者(発起人、複数可)が自己資金で賄う場合は問題ありませんが、資本金を出した最初の株主の中に経営判断に介入しかねない人がいるならば取締役会の設置の可否について考える必要があります。
詳しくは「ズバリ教えます!株式会社設立の必要な資本金」の記事を参照してください。
事業年度
事業年度については自由に設定可能です。4月1日から翌年3月31日までを一事業年度としている場合、最終月の3月が決算月(決算期)になります。決算月(決算期)については業種、繁忙期の時期、節税、資金繰りなど、会社の諸事情を考慮に入れて決定しますが、決算月・事業年度は後で変更することもできます。
【決算月(決算期)を決めるポイント】
- 繁忙期は避け、売上推移が落ち着く月を決算月とする(年間売上げの目標が立てやすい)
- 決算期と繁忙期と重ねる(社内に追い込みムードを作り気運を高める)
- 設立年月日から最も離れた月を決算月にする(消費税の免税期間を出来るだけ長くする)
- 税金の支払時期と税金以外の大きな資金支出が発生する時期をずらす(資金繰りへの影響を軽減する)
法人印鑑・印鑑証明書
一般的に会社設立時には3つの印鑑を用意すべきと言われていますが、これらは紛失、盗難、悪用などのリスクに備えるためであり絶対的なものではありません。しかし印鑑にはイメージや効果があるので、できれば次の3つは用意しておいた方が良いです。
【最低限必要な3つの印鑑】
- 実印(別名:代表者印、会社実印、法人実印、丸印)
- 銀行印(別名:銀行届出印、金融機関届出印)
- 角印(別名:社印)
詳しくは「【時短術】法人印鑑証明を今すぐ登録しよう」をご参照ください。
設立費用
個人事業主との違いを理解した上で法人化しようと考えたら、資本金とは別に登記手数料など約25万円を用意する必要があります。会社設立やその準備にかかった費用は、設立する会社の経費として算入することができます。領収書などは全て保管しておきましょう。
【約25万円の内訳】
- 定款に貼る収入印紙代:約4万円(※1)
- 定款の認証時に公証人に払う手数料:5万円
- 登記手続きに必要な定款の謄本手数料:約2,000円(250円/ページ)
- 登記手続きの際の登録免許税:最低15万円(※2)
※1: 電子定款の場合は不要 但し自分で電子定款を作るには特別な機器が必要であり、返って割高となる場合もある。 ※2: 厳密には資本金額×0.7%
書類を準備しよう
会社設立の登記申請に必要な書類は次の通りです。書類の数は多いですが、定款を除けば簡単に作成できる書類です。
【必ず提出する書類】
- 登記申請書
- 登録免許税貼付用台紙 ※登録免許税は資本金額×0.7%もしくは15万円のどちらか多い金額
- 登記すべき事項を保存したCD-Rまたはフロッピーディスク
- 定款(発起人の署名/捺印(実印)が必要)
- 資本金の払込証明書 ※資本金の振込は定款の認証後、会社の口座に振り込む ※振込金額と氏名が解るように個人名で主資金を振り込む ※払込があったことを証する書面、通帳のコピー(表紙、裏表紙、明細)
- 発起人の決定書
- 取締役(設立時役員)の就任承諾書
- 取締役全員分の印鑑証明書
- 印鑑届出書(会社の実印)
【代表取締役が複数の場合】
- 代表取締役の就任承諾書
【監査役を置く場合】
- 監査役の就任承諾書
一般的に登記書類を作成から提出までに2週間程かかります。また申請後、設立登記が完了するのに2週間程かかります。
設立登記が完了すると会社は設立しますが、会社設立後に開業に関する各種届を税務署・労働基準監督署・各自治体等に提出する必要があります。これらを提出して初めて会社運営が本格的にスタートします。
定款の作成
会社の設立で一番時間がかかるのが定款を作成することです。定款を法的に有効にするためには様々なルールがあり、手続きを間違った場合は補正が必要になります。
会社法により会社の運営については定款自治となっています。そのため定款とは会社にとって憲法のようなものになります。定款の作成はこれから設立する会社の最も重要な決まり事を策定することになります。定款の作成には発起人全員で作成し、全員が署名または記名捺印し、公証人の認証が無ければその効力を生じません。
【定款の記載事項の分類】
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
相対的記載事項とは定款に必ず記載しなければならない事項で、1つでも記載されていないと定款が無効になります。
発行可能株式総数とは定款を変更することなく将来にわたって発行が可能な株式の総数で会社設立時に発行する株式総数とは異なります。「将来的にこれぐらいまでは定款の変更をすることなしに増資する可能性があるだろう。」という観点で決めれば、すぐに定款を変更する必要がありません。
【絶対的記載事項】
- 事業目的
- 会社名(商号)
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額または最低額
- 発起人の氏名または名称および住所
- 発行可能株式総数
相対的記載事項は、記載が無くても定款の効力自体に影響はありません。しかし、定款に定めていないとその事項に関する効力はありません。
【相対的記載事項の例】
- 取締役会、監査役会、会計参与、会計監査人などの期間設計
- 株主総会招集期間短縮
- 株式譲渡承認機関の別段の定め
- 取締役の任期伸長
- 譲渡制限株式についての売渡し請求の旨
任意的記載事項はあえて定款の中に記載した事項です。対外的・対内的にその事項の取扱いを明確にするために記載する事項になります。
【任意的記載事項の例】
- 定時株主総会の招集時期
- 議長
- 営業年度
- 取締役および監査役の員数
- 広告方法
このように任意的記載事項は株主総会決議、取締役会の制定する規則等により定めても効力が生ずる事柄につき、その取り扱いを対外的・対内的に明確にする観点から定款に記載する事項です。
困ったら外注に依頼しよう
会社設立だけではなく、他の便利なサービスもついている業者をご紹介します。
- 印鑑の製作から法人登記まですべておまかせ
- 東京行政事務所
- URL http://www.kigyo88.com/
- 期間 申し込みから7営業日
- 金額 手数料38,000円(株式会社設立の場合)
- 設立後の会計・助成金・融資サポートあり
- マクシブ総合会計事務所
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- 期間 申し込みから1週間程度
- 金額 手数料50,000円(あんしん会社設立サポートプランの場合)
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- 期間 申し込みから1週間程度
- 金額 手数料28,000円(フルサポートの場合)
会社設立が終わったら必要な手続き
設立登記が完了すると会社は設立しますが、会社設立後に開業に関する各種届を税務署・労働基準監督署・各自治体等に提出する必要があります。これらを提出して初めて会社運営が本格的にスタートします。
【開業に関する各種届出】
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
- 棚卸資産の評価方法の届出書
- 減価償却資産の償却方法の届出書
- 労働保険 保険関係成立届
- 労働保険 概算保険料申告書
- 雇用保険 適用事業所設置届
- 雇用保険 被保険者資格取得届
- 健康保険、厚生年金保険新規適用届
- 健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者(異動)届
まとめ
会社設立に必要な手続きはたくさんあります。
お金がかかるから自分でやろうと思っても、失敗や準備に多くの時間がかかり逆に費用がかかってしまう可能性もあります。
面倒な手続きはプロに任せて、その間に経営者としてやらなければいけない会社経営に着手をしましょう。会社を設立しても、売り上げがあがり、利益が残らなければ会社は維持できません。
「会社を設立しよう」と思ったその瞬間から、あなたは経営者であり会社を維持するために行動をしなくてはいけません。
自分がやるべきことと、外注に任せることを判断して会社設立の一歩を踏み出してください。