マーケットは生き物!STP分析でライバルに勝つ土台作り
STP分析って何?と言われてそれぞれの英単語を即答できるマーケターはたくさんいるでしょう。
でもそれぞれの意味を本当に理解して使えている人はそれほど多くありません。
この記事では、
- セグメンテーション(Segmentation)
- ターゲティング(Targeting)
- ポジショニング(Positioning)
の意味を分かりやすく掘り下げ、すぐに活用できる形で整理します。
Contents
STP分析を知るとどんないいことがあるのか理解しよう
STP分析は、
- セグメンテーション(Segmentation)
- ターゲティング(Targeting)
- ポジショニング(Positioning)
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングのそれぞれのマーケティングプロセスの頭文字です。
最終的な目的は、狙う市場の特徴をつかんで誰に売るのかを明確化し、具体的な立ち位置を決めることです。
セグメンテーション
地理や業界、男女、年齢など市場を細分化します。
※統計調査などの定量的なデータで細分化することだ、と考えるとすっきりします。
segmentationは日本語に訳すと「分割」という意味になります。
漠然としたかたまりで市場を見ていても、いつまでたっても具体的な戦略は出て来ません。例えば興味に任せて日経新聞や経済雑誌をなんとなく読んでいるうちは、このセグメンテーションができていないと言えます。
そうしたメディアの記事を見ていて「これは何だ!?」とピンときたものについて、市場規模やプレイヤー、顧客などについて数値的なデータを確認する作業はすでにセグメンテーション作業です。
セグメンテーションを行うには、数値データを含めたその業界のレポートに目を通すことが大切です。
といっても、有料のレポートは一般の書籍と違ってかなりの金額(数万円から数十万円)するものも多く、独自に市場調査やレポートを作成してもらうと数百万円かかることも稀ではありません。
無料で公開されているセグメンテーションをするときに役に立つサイトとして、下記をおすすめしますので、自分の関心のある分野のレポートがないかチェックしてみましょう。
【経済レポート専門ニュース】
http://www3.keizaireport.com/
また「セグメンテーションを作る4つの方法と注意すべき2つの事」を参照してみてください。
ターゲティング
細分化された市場の誰を狙うのか決めます。
※ペルソナを作る作業だ、と考えるとすっきりします。
市場を細分化すると、ある程度まで対象が見えてきます。でも、最終的に相手にしなければいけないのは数値データではありません。
では何をターゲティングすればよいのでしょうか?言うまでもなくそれは、生身の人間=お客様です。
つまり、ターゲティングでやる作業は、市場を実際に作っている一人一人の見込み客にどうアプローチするのか、その対象をはっきりさせることなのです。
一言で言い換えるとこれは「ペルソナ作り」です。ペルソナを作るときには、徹底的にイメージが湧くまで対象を想像することが必要です。
よく間違ってしまうのですが、性別、年齢のようなデータはペルソナではありません。
もちろん性別や年齢も想定しますが、ペルソナとはその人の会社や私生活が見えてくるようなレベルに落とし込まれた顧客像です。
【例】
- その人の会社での役職
- どんな仕事をしているか
- 口癖は何か
- いつも何時に帰る?
- 会社帰りに寄るところは?
- 習い事やエステなどには通ってる?
- 休日何をしている?
- 家族は?独身?恋人は?
- 好きなテレビ番組と映画のタイトルは?
- 普段読んでいる雑誌の名前は?
- スマホはiPhone?それともAndroid?
- アプリは何を使っている?
こうしたレベルに見込み客を絞り込むことがターゲティングです。
市場を細分化するのがセグメンテーション、顧客像をくっきりさせるのがターゲティングと理解しましょう。
またペルソナについては「これで売上が決まる!効果的なペルソナの設定方法とは?」を参照してください。
ポジショニング
※他社との差別化をポジショニングマップなどではっきりさせる、と考えるとすっきりします。
セグメンテーションとターゲティングで、これから何を対象とするべきかは見えてきました。
今度は前ばかり見ていないで横を見てみましょう。つまり横目でライバルの動きを見ながら自分の最適な立ち位置、ポジションをとっていくのがポジショニングです。
どの市場に参入しようと、どんな見込み客にアプローチしようとライバルは必ずいます。ライバルとの戦いが避けられないとしても、常に正面衝突でガチンコ勝負をしていたのでは企業の体力も続きません。
そこで重要になってくるのが、うまく他社と住み分ける自社のポジションを見つけることです。
具体的には、検索エンジンの検索フォームに自分の業界と住んでいる地域を打ち込んで、1ページ目に出てきた企業と差別化していくことで自社のポジションがはっきりしていきます。
例えば有名な飲食店の例では、「俺のフレンチ」などを展開する「俺の株式会社」があります。
フレンチですと高級飲食店と競合することが避けられないと思う人がほとんどですが、俺の株式会社では、食材に経営資源を特化することで他社との差別化を成功させています。高級フレンチは内装もシェフも一流にこだわり資金もふんだんにかけています。
俺のフレンチでは、内装と人件費を削るかわりに、食材のレベルは落とさなかったので、味は高級店に劣らず、しかも高級店の格式に敷居の高さを感じていた人まで新しい客層として取り込むという戦略を大成功させています。
具体的にポジショニングマップを作っていくために、「俺のフレンチ」などを例として使った「ライバルに負けない!お客様目線でポジショニングマップ作り」を参照してください。
STP分析の例をみてみよう
無印良品(良品計画)でSTP分析をやるとこうなる
すでに無印良品は市場で確固とした地位を築いている企業ですが、おそらくビジネスプランを立てるときにはこうやったであろうという視点でSTP分析してみましょう。
1 市場セグメンテーション
⇒統計調査などの定量的なデータで細分化
都市圏に住む10代後半から30代前半までの品質にこだわりのある消費者。無印良品が誕生した1980年代はバブルの真っ盛りであったが、高額商品向けの市場ではなく、あえて価格の安い市場を狙う。
2 見込み客ターゲティング
⇒ペルソナを作る作業
価格の安い市場を狙っても、ターゲットとするのは「安ければなんでもいい」という考えの持ち主ではなく、安くて価値のある物を探すことに喜びを感じる層。ここから「わけあって、安い」という無印良品のコンセプトが明確化される。
3 ポジショニング
⇒他社との差別化
自然そのままの良さ、シンプルなデザイン、無意味な付加価値を排除した合理性の追求など、安さだけを訴求するスーパーマケットとは一線を画す。
このように、STPを具体化すると取るべき企業戦略の方向性がはっきりします。
STP分析は一度やったら終わりではないことに注意しよう
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
を教科書通りに理解して、最初にとりあえずやっておけばいいと考えてはいけません。
以下の点に注意して環境の変化に常にアンテナを張り、絶えずSTP分析を繰り返すことが大切です。
セグメンテーションは統計調査などの定量的なデータで細分化することです
⇒マーケットは生き物です。
常に最新のマーケットデータを参照していち早く変化を取り入れていきましょう
ターゲティングはペルソナを作る作業です
⇒ペルソナは永遠に仮説です。
売上データやWebサイトのアクセス状況などをチェックして、自社で設定したペルソナを定期的にブレストなどでアップデートしていきましょう。
ポジショニングは他社との差別化戦略です
⇒ライバルは常に次の手を打ってきます。
ライバルの動向に常に目を配りポジショニングマップを組み直してきましょう。
まとめ
以上、言葉は知っていてもどうやって具体化するのかでつまずきがちなSTP分析の具体的方法を見てきました。
STP分析とは
- 「データによる市場細分化」
- 「ペルソナ作り」
- 「ライバルとの差別化」
だと理解し、それぞれの分析を繰り返しアップデートしていきましょう。