欲しいのはコレ!失敗しないブランディングに必要な3要素
インターネットの発展により、経済活動や利益が起こる基本的な構造である「情報の格差」の格差の差が恐ろしい勢いで無くなっていく現在において、マーケティングという「売れ仕組み」を作ることの重要性は高まっています。
ただ良いものを作っていれば売れるというような状況は今後どんどんなくなっていくのは間違いないでしょう。
しかし、「仕組み」を作っていても人は行動しないことがわかっています。
大事なことは納得と理由。この「行動する理由」を生みだすブランディングという手法に注目が集まっています。
ブランディングとはどういうものなのでしょうか。
そしてマーケティングとはどう違うのでしょうか。
Contents
ブランディングの時代
ブランディングという顧客に
「なぜこれを選んだのか」
「これを選んだ理由はこういうことだ」
という理由を作り上げる仕組みは、現在注目されていますが、実は昔から使われていた仕組みでもあります。
また、どんな商品であれサービスであれ、それを提供している人たちにとってはごくごく当たり前な行為ともいえるでしょう。
例えば、八百屋が2店舗、隣り合わせで建っているとします。
すると、この八百屋は自分の商品がいかに優れているか、いかに隣の店舗と比べて素晴らしいかをアピールするでしょう。
例えば値段かもしれかもしれませんし、あるいは鮮度かもしれません。
こうした方法をよく
「違いを作る」
「強みを強調する」
といった言い方をしていますが、顧客からすれば
「Aから買う理由は安いからだ」
「Bからかう理由は鮮度が高いからだ」
といった理由を見つけることになります。
このような言い方をすると「選ぶ理由を顧客に提供する」ブランディングと「売れる仕組みを作り上げる」マーケティングの違いについてわからなくなるかもしれません。
基本的にマーケティングの一部にブランディングが含まれていると説明されることが多いと思いますが、ブランディングには、現代の商売・経営に非常に重要な考え方が内包されています。
ブランディングとマーケティングは少し違う
まずは、ブランディングとマーケティングの違いを確認して、ブランディングへの理解を深めていきましょう。
マーケティングの役割と意味
マーケティングとは「売れる仕組みを作る」といいますが、顧客的な視点で見ていくのであれば、商品とどのような形で出会うかということでもあります。
感動的なシチュエーションを作り上げれば、それだけ商品が魅力的に映ることもありますが、一方で商品の性質によってはその魅力が仇になる場合もあるでしょう。
商品の見え方や商品の提供のされ方なども視野に入れながら、顧客と商品がどういうタイミングで出会うか、出会ってもらうかなど、こうした仕組みを考えるのがマーケティングの主要なテーマともいえます。
また、商品の見せ方といった発想が入ってくるので、商品をどうするかだけでなく、市場や顧客をどのように育てていくかといった考え方も必要になっていきます。
「ドリルを購入する人は、ドリルが欲しいのではなく穴が欲しいのだ」というものもありますが、
「顧客が欲しがるような穴を作る」
「その穴を作れるのは当社のドリルしかない」
といった形で市場を構成させていくこともまたマーケティングでもあります。
ブランディングの役割と意味
「選ぶ理由を顧客に提供する」ブランディングとは、かなり難しい考え方です。
自分たちが作る商品やサービスが一体どのように顧客に受け取られているのか、あるいは受け取られようとしているのかが明確でなければブランディングはできません。
例えば、ブランディングといえば「シャネル(CHANEL)」や「グッチ(GUCCHI)」といったブランド品を想像される方も多いと思います。
こうした商品は原価に比べて販売価格が莫大であるとよく言われているでしょう。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
多くの人がブランド品でイメージする
- 「高級」
- 「高品質」
- 「おしゃれな人が使っている」
- 「セレブが使っている」
- 「キラキラしていてイメージとして綺麗」
といったものを顧客に伝えるための行動を非常に多く取っています。
こうしたイメージを作り上げるためにこうしたブランドは必死なのです。
その結果として
「シャネルだから買う」
「ルイ・ヴィトン以外は眼中にない」
といった人たちを作り上げています。
そしてこうした人たちに「なぜシャネルがいいのか?」と尋ねても「シャネルだから」と答えるはずです。
これが、ブランディングの最終目的地点。安い・高品質・役に立つといった理由が出てくると思うのですが、最終目的地点は「その会社だから買う」という理由となります。
ブランディングに必要な3つの要素
ブランディングの意味や最終目的地点がわかったところで、ブランディングを組み立てていくために必要不可欠な要素を3つ見ていきます。
どのような商品やサービスのブランディングを行うにしろ、この3つの要素を満たしていく必要があるのです。
コンセプト
ブランディングを考えるのであれば、「顧客にどのような理由を提供するか」ということを最初に考えるはずです。
これをコンセプトといいます。
このコンセプトがシンプルでわかりやすく、かつイメージがしやすいものであればあるほどブランディングは成功しやすいでしょう。
どのような商品でさえブランディングが行われているということは、今あなたの目の前にあるパソコンやスマートフォン、あるいはお茶を飲んでいればコップや茶葉といったものでさえ、そうした商品を提供している会社のコンセプトを多少なりとも受け取った結果として購入しているはずです。
「誰に、何を、どのように伝えるか」という質問を基に、「なぜこの商品を買うのか」という問いに顧客がこたえられるようにするためには、まずはコンセプトを正確に顧客に伝える必要があるでしょう。
ターゲティング
どのような商品やサービスを提供するにしろ、想定顧客がいます。
先ほどの問いでいうならば「誰に伝えるか」ということでもあるでしょう。
このターゲティングがブレてしまうと、どのような商品も売れませんし、誰に売るかが固まらなければ「買う理由」も顧客の中に構築されません。
ターゲットの作り方はマーケティングの手法と同じで、ペルソナを用いるとよいでしょう。
ペルソナとは、想定顧客そのものを指し、性別や年齢、職業といった一般的な属性だけでなく、さらにその商品との出会い方やその人が置かれている状況などもイメージしていきます。
このイメージが鮮明であり具体的であればあるほど、本当にそうした特徴を持ち合わせた人に商品が届くと売れることになるのです。
このペルソナの設定は非常に難しく、具体的になればなるほど一般性が失われるので、その条件に適している人は少ないのではないかと思う人も多いでしょう。
しかし、面白いことにどんな商品もまずは一人に売れなければ話になりません。
誰にも売れない商品が、その後、誰かに売れるようになることは非常にまれです。ぜひ、まずは1人の想定顧客に売ることに注力してください。
ポジショニング
ポジショニングとは、いうならば、社内リソースをどこにつぎ込むか決定するということです。
例えば、ラーメン屋を経営するにしても、おなかがすいている人すべてを想定して作ることは非常に難しいでしょう。
フランチャイズや大手資本であればそれも可能かもしれませんが、規模的に不可能なことが多いものです。
先ほどのターゲットとペルソナで作った想定顧客に合わせて、狙う市場も決めていくことになります。
「辛いラーメンが食べたい人」に提供しようとするのであれば、それ相応のイメージがあります。
辛いといえば赤、というのであれば、赤い看板であったり器であったりを用意することになるでしょう。
このようにターゲットやペルソナを絞り込んでいくとともに商圏も選択していく必要があります。
この過程で「誰が、何を、どのように伝えるか」というテーマが固まっていくのです。
ブランディングが必要な環境は3つある
続いて、新しくブランディングが必要な商品の傾向についてみていきましょう。
基本的にどのような商品であれブランディングは必要なのですが、商品によって注力するポイントが違ってきます。
それを理解することで、ブランディングを行っていく際の効率性が高まっていくでしょう。
商品の創出
俗にいうイノベーションや新商品開発です。
これは初めて作るものであるため、必ずブランディングが必要になります。
また、一から商品を開発しているため、かなり自由にブランディングできることも魅力でしょう。
とはいえ、何もないところから作るというのはその分、判断が難しい場合が多いです。
先行的な商品やサービスが見当たらない場合、大きなチャンスがそこにはありますが、そのチャンスを手に入れるまでの期間は予想よりも長くなりがちでしょう。
そして、こうした商品は同時に需要も創出していく必要があります。
ブランディングに必要なものすべてを求められる環境といっても過言ではありません。
インフルエンサー
すでに現在存在する商品やサービスの中から、その市場の未来や可能性を前提に、先行者メリットを獲得していくという手法です。
パイオニア戦略ともいわれ、ブランディングによる市場創造が可能な分野でもあります。
新しいビジネスモデルなどがこれに当たり、現在話題の仮想通貨に代表されるようなフィンテックの分野などで必要な戦略です。
ティッピングポイント
目新しくない商品や商売の中から独自性を築き上げていく戦略です。
多くの場合、ブランディングというとこの戦略のことをイメージするのではないでしょうか。
独自のコンセプトや明確なターゲットを決めることで、他社との競争において戦略的に優位にふるまおうということになります。
このブランディングの特徴は、最初はほとんど効果が出ないことです。
いきなりイメージを変えようとしても、そもそも顧客が付いてきません。
しかし、ある地点までリソースを投入し続けると、一気に市場の動きが変わります
。この市場の動きが変わる瞬間をティッピングポイントと呼び、ここに投資対効率がプラスになる点があるため、ティッピングポイントがどこにあるのか、そこまでリソースを注ぎ込めるのかを見極めることが最も重要でしょう。
まとめ
ブランディングの語源は、「焼き付ける」といった意味の「burned」です。
ヨーロッパでは、昔自分の牧場で採れた豚や羊に、特徴ある焼き印を入れる風習がありましたが、ここからブランディングが始まったといわれています。
日本でいうところの特徴的な印鑑を作るといったイメージでしょうか。
ブランディングとは顧客に「買う理由」を提供すること。
まさに、顧客の心にイメージやコンセプトを焼き付けるかのごとくです。
明確なイメージやコンセプトが提供できる商品やサービスは、顧客にとって非常に魅力的な商品であるといえるでしょう。
こうした魅力をしっかりと届けることで、確かな「買う理由」を顧客が有するようになります。
この「確かな買う理由」こそが、「顧客から愛される」ということでもあるのです。