伝授!最大限に活用されるマニュアルの作り方3つのポイント
今あなたの周りにはどれくらいのマニュアルがありますか。
コンピュータや家電製品や携帯電話、そして会社のマニュアル等たくさんのマニュアルがあなたの周りにあるかと思います。
その中できちんと内容を把握しているマニュアルはいくつありますか?
マニュアルはたくさんあってもじっくり読み込む事はほぼありません。
しかし会社のマニュアルはどうでしょうか。
転職や異動をした際は、真剣にマニュアルを読み込みチェックをして、一生懸命マニュアルと向き合います。
マニュアルはあるだけでは意味がなく、活用できないと意味がありません。
きちんと活用・運用してもらえるマニュアルとはどのようなものでしょうか。
マニュアルとは?
それでは活用されるマニュアルについて考えてみましょう。
マニュアルとは
マニュアルとは「取扱説明書や手引書」のことです。
ある物や事柄について使用方法をわかりやすく説明・解説したものです。
会社によっては
- 部署ごと
- 部門ごと
- 業務ごと
など様々な分類でマニュアルを作成しています。
マニュアル作りの3つのポイント
ポイント 最初にシンプル化をするためにルールを見直そう
マニュアルを作る前に今やっている流れを見直して、極力シンプルにしてからマニュアル作りをしてください。
複雑な事はマニュアル化しても意味がありません。
「誰が見てもすぐに作業ができ、完成させられる」というのがマニュアルの本来の姿です。
まず作業をシンプルに無駄を省いてからマニュアル作りを始めましょう。
複雑な内容では誰も実践できません。
ポイント マニュアルは3ステップ以内でまとめる
長いマニュアルは読むのが大変です。すぐに理解できるように3ステップで完成できるようなマニュアル作りを目指しましょう。
細かい作業は補足資料をつけるなど、必要なときに見られるようにしておき、作業はステップ化して流れのままに行えば作業が完了できるようにまとめましょう。
マニュアル化をきっかけに業務のフローが最小化され、時間もコストも削減できます。
今のやり方が当たり前で正しいという考えは一度捨てて、新たな気持ちで流れを見直してみましょう。
ポイント 教えてもらった人がマニュアルを作る
「逆じゃないの?」と言われそうですが、逆ではありません。教える人が作るのではなく、教わった人が作りましょう。
そして教わった人は一度自分が学んだ事を報告する場を設けてください。
それにより
- より理解度が深まる
- 理解していない点が浮かび上がる
と更に改善ができます。そしてマニュアルが更にバージョンアップでき、精度の高いマニュアルとなります。
マニュアル作りの事例
事例1 職人しかできない見積もりはNG!大卒女子ができるマニュアル作り
【マニュアル作成前】
庭木の剪定や伐採などは経験値のある職人さんにしか見積もりが出せませんでした。
木の高さだけではなく
- 木の幅や葉の多さ
- 木の種類
- 木の生えている位置
- 処分量
- 作業にかかる時間
- 作業をする職人の人数
など様々な要因を考慮して見積もりを作っていたので、素人にはマニュアルを作る事さえ難しく、職人の経験から出しているので根拠も明確ではなく、お客様もよくわからないけど言われた金額を支払うという悪い流れができていました。
職人の経験から見積もりを出すという事で基準値が明確にならない方法は廃止し、お客様に明確に金額を伝えられるように、または「素人でも簡単に作成できる見積もり作り」のためのマニュアル作りに着手しました。
【シンプル化】
それまでは職人しかできなかった見積もりを素人でもできるようにするために、職人の経験値から出していた見積もりを
- 木の高さで価格を分ける
- 生け垣の長さで価格を決める
- 草刈りの面積で価格を決める
- その場でお客様に見積書を提出する
で出す事をルール化しました。
木の剪定であれば、木の高さを計測して決まっている価格を出すだけです。
複数の木があれば、単純に木の高さ×本数で金額をだします。
つまり、メジャーで木の高さを測る事ができれば誰でも見積もりを作る事ができます。
また処分費に関しても一定の計算式を決めておけばすぐに見積もりが作成できます。
まれに高木の木やクレーン車などの作業車が必要な特殊な現場の場合は、携帯などで写真を撮り、経験のある社内の職人にすぐに価格をだしてもらう体制を整えました。
また見積書はその場で出せるよう、3枚複写形式の見積書を作成し、
- お客様提出用
- 会社控え
- 請求書
となるように見積書を作成しました。
見積書はデザインを作成し、アスクルなどで発注する事で速やかに制作ができました。
【マニュアル作成後】
ステップ1 木の高さや草刈りの面積を計測する
ステップ2 処分費を合わせて見積書を作成する
ステップ3 見積書をお客様にその場で提出する
という上記のマニュアルにまとめました。上記マニュアル化することにより、その場でお客様に見積もりをお渡しする事ができるので、受注率が高くなることにもつながりました。
上記マニュアルを作った事により、大卒の女性社員が即現場に出て、毎月継続した受注を生み出す事ができています。
こちらは現在もバージョンアップしながら運用されています。
事例2 クレーム報告もマニュアル化してクレーム隠しゼロへ!
【マニュアル作成前】
- 誰に
- いつ
- どうやって
報告するか決まっていなかったので、クレーム内容によりその都度報告先や、タイミング、方法がバラバラでした。
またクレームそのものの基準がなかったため、受けた人の判断基準で報告されないクレームが多発し、大きなクレームにつながることが出ていました。
【シンプル化】
誰に報告していいかわからなく、同じ報告を何度もしなければならない状況をなくすために
- クレーム報告先の一本化
- クレーム発生後すぐに報告をする
- クレーム専用の報告ツールを用意
上記を見直しました。
クレーム報告先の一本化:部門長、部門メンバーだけではなく、クレームは会社全体の問題です。
クレームの報告先は全社員を対象としました。
クレーム発生後すぐに報告をする:クレーム対応は時間がかかればかかるほどこじれます。
早急に対応していればすぐに解決する事も、対応に時間がかかったことでクレームが解決できず、大事なお客様が去ってしまいます。
クレーム報告はすぐに行う事言う事をルール化しました。
クレーム専用の報告ツールを用意:「そこに連絡が入ったらクレームだ!」という事がすぐにわかるようにクレーム専用の報告ツールを用意しました。
- チャットワークを活用して「クレーム専用チャット」を用意する
- 携帯のショートメールに配信される
- クレーム専用LINEグループを作る
などすぐに社員全員が気がつく方法でクレーム情報を共有することをルール化しました。
【マニュアル作成後】
ステップ1 クレーム情報をすぐに全社員に報告
ステップ2 責任者よりクレーム対応方法を指示
ステップ3 担当者は速やかにクレーム対応し、対応後全社員に報告
全社員に情報を共有する事で
- クレームは決して他人事ではないという認識が生まれた
今までは「自分のことではないから」「他の部署のことだから」という考えから、クレームが発生してもただ聞いているだけだった社員が、部署間を超えて協力してクレーム対応ができるようになりました。
また常に自分にも起こりうる事だという認識が生まれて、クレームに対する意識が変わりました。
- 同じようなクレーム件数が減った
何度も同じようなクレームが繰り返し起こり、その都度対応をしていましたが、情報を共有する事により未然にクレームが防げるようになりました。
- クレーム対応があったお客様との関係性が深くなった
速やかなクレーム対応をした事により、お客様から強い信頼感を持ってもらえるようになりました。「ミスはしたけど、真摯に対応してくれる真面目な会社だ」と認識してくれます。
また情報を共有しているので担当者が変わっても、他の部署のスタッフでも同じクレームが起きないようお客様に注意して対応する事により、同じお客様に二度とご不快な思いをさせることがありません。
クレーム報告はお客様に迷惑をかけるだけでなく、会社内の評価などにも響くため、できるだけ発生させたくありませんし、できるだけ大事にしたくはありません。
しかしマニュアルを作った事により、どんなクレームも大事にして会社全体で対応する流れができたので、クレームも1人の責任で対応する事なくなりました。
クレーム報告をマニュアル化することにより、会社だけではなくお客様にとってもいい状況になり、会社としてステップアップすることができました。
マニュアルの作り方4つの注意点
注意点1 作る事が目的にならないように
マニュアルは作る事が目的ではありません。運用し、業務がスムーズに進む事が重要です。
しかしマニュアルを作った担当者は、マニュアル作りをしているうちにマニュアルを作り上げる事が目的となってしまいます。
- 文字量が多くなる
- イラストなど過剰に入れる
などの凝りすぎたマニュアルを作ってしまうことがあります。
先ほども申しましたようにマニュアルは「誰が見てもすぐに作業ができ、完成させられる」ことが目的です。
誰かに公開するものではなく、社内で使用するものです。
なるべく時間をかけずシンプルなマニュアルを作りましょう。
注意点2 マニュアルはすぐに手に取れるように
作成したマニュアルはデジタル化して共有をすれば、どこからでも誰でも見られる状態を作り出せます。
しかしアクセスまでの動作が多くなると、マニュアルにたどり着く前に自分のやり方で作業を終えようとしてしまいます。
デジタル化する場合はすぐにアクセスできる方法を考えてください。
またデジタル化と併用してすぐに取り出せるようアナログでの保管もおすすめします。
急いでマニュアルを探しているとき等は、PCを立ち上げて、ログインしてと言った作業さえ、イライラの元となります。
注意点3 マニュアルを増やしすぎない
何でもマニュアル化してしまい、マニュアルの数が増えてしまうとマニュアルを探し出すことが難しくなってしまいます。
マニュアルを探すためのマニュアルが必要になってしまう状況は本末転倒です。
マニュアルは誰でも理解でき、実行できる事が重要ですが、それ以上に誰でもすぐに目的のマニュアルが見つけられないと意味がありません。
マニュアル化を始めると、アレもコレもマニュアル化しようと考えてしまいます。
マニュアルを作る前に
- 本当にマニュアルが必要か?
- マニュアルが必要な業務か?
を考えましょう。マニュアル作りは競争ではありません。数多く作る事ではなく、運用しやすいマニュアルを作りましょう。
注意点4 作ったら終わりにしないように
マニュアルを作ったら満足してしまい、活用する事を忘れてしまう事もあります。
また最初はマニュアルを見ながら作業をしていても、そのうちマニュアルを見なくても作業できるようになり、自分なりのやり方が定着してマニュアルから少しずつ離れてしまうこともあります。
マニュアルは作ったら終わりではなく、育てなくてはいけません。
その時代、その時の社内環境で効率の良いやり方が変わって行きます。
マニュアルはバージョンアップをしていつの時代にも適した内容に変更しなくてはいけません。
いつの間にか人が入れ替わり、やり方も変わっているのにマニュアルだけ置いてけぼりにならないようにいつでも気にかけてあげましょう。
人もマニュアルも繰り返し経験をする事で成長します。
まとめ
現在社内にあるマニュアルを一度机の上に並べてみてください。
使われているもの、全く使われていないものがあるかと思います。
- 何故使われなくなったのか?
- 何故全く使われないのか?
を確認しながら、必要なマニュアルを残し、そのマニュアルをシンプル化してみてください。
使われないマニュアルには必ず理由があります。
マニュアルがなければ退職や異動などの時は、引き継ぎや業務が定着するまでに時間がかかります。そして大きなミスも発生しやすくなります。
常にバージョンアップしたマニュアルを用意し、いつ誰がどの部署に異動になっても対応できるような風通しのよい会社作りを目指しましょう。