経営のプロが教える新規事業を成功に導く9つのフレームワーク
大学で経営についてひと通り学んできたし、これまで何百冊の経営に関する書籍に目を通してきたけれど、どれも机上の空論のような内容で実際の経営に役に立つのかわからないものばかり。
「もう内容も覚えていないし、実際に起業するときに全ての書籍を読み返すなんてできない…。
それにわたしは学者じゃないので、経営学を追求するのではなく、実際の経営を軌道に乗せるために最低限必要な知識だけ欲しい…。」
そんな声が多く聞こえてきそうですね。
そんな時にとても便利なのが「フレームワーク」。
フレームワークとは、ものごとを考える上での枠組みを表したものです。
ビジネスにおけるフレームワーク、つまり思考の枠組みはたくさんありますが、ビジネスハックがおすすめする起業時に限定したフレームワークはたったの9つだけ。
この9つのフレームワークを素早く学び、成功に向けて素早い行動をおこしたいものです。
今回は「経営のプロが教える新規事業を成功に導く9つのフレームワーク」をご紹介します。
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Contents
1.本当にやりたい仕事を見つけるためのフレームワーク2つ
世の中、本当に自分にあった仕事ややりたい仕事が出来る人は稀です。
ほとんどの人が仕事に不満や疑問を感じながら退職を迎えます。
これはサラリーマンだけではなく多くの社長さんも同様に自分にあった仕事や本当にやりたい仕事に巡り会えないことがほとんどです。
なぜこうなるのか。
それは起業するときに本当にやりたい仕事を決めずになんとなくで起業しているからです。
なんとなくというのは、例えば家業をそのままの形で継いだからとか前職でやっていた職業でそのまま起業したとかたまたま器用でなにかが作れたからそれを売ろうというケースです。
つまりよく考えないまま起業するというケースは実はよくあるのです。
そうならないためにここでは2つのフレームワークを使って、本当にやりたい仕事、自分に向いている仕事を見つけましょう。
1-1.自己分析と環境分析
本当にやりたい仕事やあなたにぴったりの仕事を見つけるためにもまずは
自己分析を行ってください。
自己分析とはまさに今のあなた自身を分析すること。
やり方は簡単。
まず、今までやってきた仕事や遊び、趣味の分野を列挙してください。
それをノートに書いていく。
次にその列挙したものの中から、これは生涯にわたって携わっていきたいものを丸で囲んでください。丸印には赤ペンを使うとよいでしょう。
まずはあなたの得意なことをおおまかに設定します。
列挙していく趣味の分野や仕事の分野は、例えば、運送会社のドライバーの場合、
長距離運転手といういいかたで列挙するのではなく、運送関連の仕事という
おおきなくくりの区分けをしてもらえる程度で大丈夫です。
まずは◯◯関連の分野という位置づけで良いです。
この列挙したものの中でビジネスに繋がりやすいと思うものがあなたが選ぶべき
仕事です。
正解は無いので、本当に簡単にここまではやってみてください。
実際にこれが正しかったかどうかは、実行してみないとわからないので、
はじめはこれが正しいとか考えなくて良いです。
ただ絶対にやりたくない仕事は選択しないでください。
そして環境分析に入ります。
ここでいう環境分析とは、その業界の生態系を見た時に、
その関連する人々の中で誰が一番困っているかを考えます。
例えば、税理士関連の仕事を選んだ方。
業界には税理士であるあなたとライバル税理士、そして法人個人のお客様、税理士向けにオフィスコンピューターを販売する業者、OA機器を販売するゼロックスのような業者などたくさんの関係者が存在します。
この中で昔は税理士不足で一番困っていたのはお客様だったのですが、
税理士の数が国策により増えすぎてしまい、その結果、今では業界の生態系の中で一番困っているのは税理士という分析が成り立ちます。
そうであるなら、税理士向けにマーケティングノウハウを販売することがその業界内で一番売上が立ちやすいということになります。
自分が関わり続けたい業界をまず選び(自己分析)、次にその業界で一番困っている人を特定する(環境分析)をすることであなたにぴったりの業界がきっと見つかるはずです。
ここまでがあなた個人がどんなビジネスに携わりたいかを設定するのに必要なフレームワークです。
1-2.MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)
自己分析と環境分析を行ったら、次は会社の組織づくりに欠かせない企業理念を形成するミッション、ビジョン、バリューを作ります。
ミッション(使命)とは果たさなければならない役割、社会に提供する価値、存在する意義を表したものです。
ビジョン(将来像)とは、将来のあるべき姿や中長期的に目指す目標像を、その会社に関わる誰もがイメージが湧くように表現したものです。
そして、何を大切にしてミッションやビジョンを実現するのか、行動指針や姿勢を表したものがバリュー(価値)です。
ミッションがWhy、ビジョンがWhat、バリューがHowにあたります。
「わたしたちはすべての人が幸福に暮らせる社会をつくるために正直な家造りを行います(ミッション)。2020年に横浜市の3万人以上のお客様から感謝される企業となるよう(ビジョン)、お客様を第一に考え、業界を大きく変え続けるリーダーとなります!(バリュー)」
など、企業理念によくある言葉はこのMMVのミッション、ビジョン、バリューで構成されていることが多いです。
MVVは単なる業績目標や倫理規定では意味がなく、未来に向けて株主や社員その他関係者みんなが奮起できる、夢のあるものであるべきです。
MVVをもとにして、人・仕組み・組織風土の3つの要素に働きかけて、活性化された組織を構築します。
また、企業理念を形成するMMVは、そのようでありたいまたはそのようなMMVに魅せられた人がその企業に集まりだし、組織風土を形成します。
つまり、このMMV次第でどんな人を集めたいのかが決まってしまうのです。
会社で取り扱う商品やサービスは時代の変化に対応して、柔軟に変わりますが、企業理念は普遍的なものです。
新規事業を起こしたり、会社を新しく作るときにはMMVは非常に大切になってきます。
ここまでが会社の方向性をつくるのにとても大切なフレームワークです。
ビジネスはただ儲かれば良いというものではなく、あなたらしさや社会的意義なども設計されていないビジネスはやはり長続きしません。
本当にお客様や社会から愛される企業とは、社長のやりたいことと会社のMVVが明確でそれが社会のためになっている企業となります。
どうせ経営するならあなた自身もお客様も株主からも素敵に思える事業を作りたいものですね。
2.商品開発におけるフレームワーク3つ
ここまでは、社長個人の人生の方向性やビジネスとの関わり方、そして会社の方向性を考えるフレームワークでした。
ここからは、実際に売れる商品を作るのに必要なフレームワークをご紹介します。
2-1.ペルソナを設定する
よくある事業の失敗に、まず商品ありきのビジネス形態があります。
これは必ず売れるはずだと信じて商品を作ってしまった後で、実際には売れない商品の大量の在庫の山に悩まされるケースって意外と多いものです。
また売り手目線のひとりよがりの商品は非常に多く、そのほとんどがお客様から相手にされません。お客様は単純に自分にとって得な商品しか購入しません。
他と比べて何が得なのかを明確に表現しなければお客様は買ってくれません。
どんなに品質が良くてもハイスペックでも売れなくてはダメなのです。
良い商品が売れるのではなく、売れる商品が良い商品だという現実をまずは知ってください。
売れないという最悪の状態を回避するためのフレームワークがペルソナ分析です。
ペルソナとはあなたの商品やサービスを購入してくれる理想のお客様を勝手に想像した空想上の人物です。
空想上と言っても、より具体的に作り上げられます。
例えば、お庭の植木のカットをビジネスとして行っている会社のペルソナは
「夫婦共働きで子供は2人の小学生。世帯年収は800万円で神奈川県横浜市の相鉄線沿線に住む34歳の主婦の鈴木陽子さん。趣味はカフェで友達との会話や食べ歩き。年に1度の海外旅行を楽しむ。虫は大の苦手で内気な性格。」
と、本当にその人があたかも存在するような感じの設定をします。
そしてこの女性だったらどんなサービスや商品が好まれるだろうと想像しながら、商品を他者と違えていく一連の行為がペルソナマーケティングと言われる手法です。
実際にはこのお庭屋さんは、主婦が嫌がる職人にトイレを貸さなければならないということや庭先でタバコをすわれたりなど、彼女が嫌がることを禁止したサービスを提供して、ライバルと差別化したサービスを提供して成功しました。
また、非常に怖がりで内気な女性を気遣い、20代の若い女性が営業スタッフとなり、服装も職人のような作業服ではなく、ポロシャツにチノパンスタイルをとり、どこかオシャレで気さくな感じを持たれるユニフォームにして親近感をだしました。
このように実際にいないお客様を想定して、具体的にお客様が望んでいるであろうことを想像しやすくするのがペルソナマーケティングです。
どうしても作り手目線、売り手目線では、商品スペック等には気が向きますが、お客様の欲しがる得なことは何かがつかみとりづらくなります。
売り手である企業側の目線を一切排除し、お客様の立場になって商品開発をしていこうとすることは売れる商品づくりにおいて非常に大切な行為です。
プロダクトアウトという売り手目線で商品を開発する手法ではなく、マーケットインというお客様の要望を取り入れたマーケティング手法はこれから更に重要となっていきます。
あなたも新規事業を考えるときに理想とするお客様像(ペルソナ)を設定し、そのお客様の立場になって商品を開発すると成功の確率が飛躍的に高まるでしょう。
2-2.3C分析
3Cとは
自社(Company)
競合(Competitor)
顧客(Customer)
のことです。
市場にはお客様と競合(ライバル)と自社しかいないという言葉があるのですが、文字通りその市場におけるプレイヤーである自社とライバルそして顧客の3つを分析して自社の商品を開発設計するマーケティング手法です。
3Cの分析項目は以下のとおりです。
【顧客】
- 私たちの現在や将来の顧客は誰なのか
- 顧客はどんなニーズを持っているのか
- 何が購買の決め手になっているのか
- 市場はどのような構成になっているのか
- 市場の規模や将来性はどれくらいあるのか
【競合】
- 私たちのライバルはどこなのか
- ライバルたちの強みと弱みは何なのか
- ライバルは業界をどう見ているのか
- ライバルたちは顧客からどう見られているのか
- 新たに脅威となるところはないのか
【自社】
- 私たちは何を目指して事業をやっているのか
- 私たちの強みと弱みは何なのか
- 勝ちパターンと負けパターンは何なのか
- ビジネスの資源を十分に持っているのか
- 事業を進めるのに適した組織になっているのか
ペルソナ分析をしてお客様が欲しがる商品やサービスを開発したとしても同じような商品がライバルも既に出していたらそれは真似で終わってしまいます。
またお客様が欲しがる商品やサービスは想像できたとしても自社リソースなどを考えるとどうしても作れない商品やサービスというのも存在します。
そうならないために3Cを前もって分析して、自社の強みや特徴が一番発揮されるような商品開発をすべきなのです。
2-3.ポジショニングマップ
そして商品開発の最後に必要なフレームワークがポジショニングマップとなります。
ターゲットとする市場や業界でのライバル各社もしくはライバル商品の位置づけを明確にして、業界全体の構図を把握し、ライバルと差別化できる独自のポジションを設定する手法です。
具体的には2つの軸を十字に設定します。いわゆる二軸を切るという手法です。
ペルソナ分析や3C分析で自社やライバル、そして顧客のニーズを把握したら、2つの軸、いわゆる基準を2つ設定してそのマップのどこにライバル商品が存在しているかをマッピングして、ライバルのいない場所に自らの商品を配置する手法です。
いくらいいものでも、ライバルと同じ商品の場合はうまく売れないことがほとんど。できればライバル商品がいない切り口の商品で市場を独占したいものです。
一般的に考えられる軸としては、品質が高いか低いかという品質軸と価格が高いか安いかという価格軸の2つが想像できます。
でもこの2軸では高品質なものは価格も高くなり、低品質なものは価格が安くなるというポジショニングマップ上では一直線にライバル商品が並ぶという結果となり、結局安いものは室が悪く捉えられ、高いものは高品質だから高くて当たり前的な特に際立った特徴のない軸の設定となってしまいます。
2軸を品質と価格以外で思い切って変えると、ライバルが手付かずのブルーオーシャンのポジションが見つかるかもしれません。
これで成功した例が1,000円カットのQBハウス。
彼らはそれまでの床屋さん業界で競い合っていた、価格と親近感や技術という軸を大きくチェンジし、親近感ではなく時間という基準を軸に採用しました。
価格軸は1000円の低コストで業界のライバルを圧倒し、親近感や技術ではなく、髪の毛を切るのにかかる所要時間を10分という圧倒的な時間短縮を価値基準に取り入れました。
QBハウスがお客様に提案した2つの軸は価格と時間です。
これまで業界のライバルたちもお客様自身も気が付かなかった、10分1,000円で髪の毛を切れることの素晴らしさに気付かされ、担当者を指名もできないし、1万円札を持って行っても1,000円札を用意してくださいと一度返されてしまう面倒くさいシステムとうデメリットの代わりに10分1000円という圧倒的な手軽さで顧客を魅了しました。
今でこそ、10分1000円でカットできるお店はQBハウスを真似て多くなってきたものの、サービス開始から3年ほどは圧倒的な強さで業界をリードしていきました。
これくらいライバルがいないポジションを探し出す一連のマーケティング手法は業界No.1を目指す企業にとって非常に重要な手法です。
ここまでが商品開発におけるフレームワーク3つです。
これであなたの新規事業も売れる商品ができたということになります。
でもここからが本当に大切なこと。
しっかりとした数字の情報をもとに正しい判断で事業経営をしていかないとせっかく作った売れる商品が売れない状態、つまり倒産してしまうことになりかねません。
次の章では倒産しない会社(事業体)をつくるためのフレームワークをご紹介します。
3.倒産しない会社をつくるためのフレームワーク:ひとりあたりの粗利益
社長の仕事の中で最も大切なことは会社を倒産させないこと。
これにつきます。
いくら利益を出したってどんなに優秀な商品やスタッフを育てたって会社が倒産しては何もなりません。
会社は黒字でも倒産します。
資金繰りがうまく行かなければ黒字倒産だってありえるのです。
そんな状況にならないために知っておかなくてはならないフレームワークがあります。
それは経営は科学というフレームワークです。
全ての会社の出来事は数字で置き換えることができます。
また全ての行動は数字を元に設計し、その検証も数字で行います。
社内の会話も数字。行動も数字で表現する。
広告の評価も全て数字で行う。
この考え方は会社を潰さないために非常に大切です。
経営者が会社の数字のどこを常に見ておかなくてはいけないか。
会社の数字の中で最も大切な数字がスタッフひとりあたりの粗利益額です。
売上から製造原価を引いた数字が粗利益、試算表などでは売上総利益と表示されている数字です。
この数字を従業員数で割ってみてください。それがスタッフひとりあたりの粗利益額です。
社長は2人分、アルバイトは0.5人と数えます。
例えば粗利益が1億円で従業員8人の会社は社長の2人と合わせて10人の会社ということになります。
1億円の粗利益に10人のスタッフ。つまりスタッフ1人あたりの粗利益は1000万円です。
これではおそらく会社は赤字でしょう。
多くの上場企業ではこのひとりあたりの粗利益額は2200万円以上を確保しています。
だから平均年収が高いのです。
昔から「給料の3倍稼ぎなさい」という言葉がありますが、これは給料が年間500万円の人は1500万円の粗利益を稼いできなさい、そうすれば会社は倒産せずにボーナスも払えますよという意味です。
今では社会保険料の高騰などもあり法定福利費などがかさむため給料の3倍ではなく4倍〜5倍程度稼がないと会社は厳しいところが多いようです。
一般的にはスタッフひとりあたりの粗利益額が2000万円というのが良い会社と悪い会社のボーダーラインと言えます。
スタッフひとりあたりの粗利益が2000万円を下回るようである状態では、いくら忙しくてもスタッフの増員はダメです。
増員する前に値引きをやめるか原価を削減するかもしくは無駄な仕事を捨てて今の人員で効率よく仕事をするかの選択しかありません。
従業員増員計画の時にも使えるこのスタッフひとりあたりの粗利益額2000万円というフレームワークは健全な会社経営にとってとても役に立ちます。
新規事業を会社内で立ち上げる際も新しい会社を作る際もP/Lの粗利益がスタッフひとりあたり2000万円を切らないように人員の配置や商品単価の設定、粗利益率の設定をしなければならないことを忘れないようにしてください。
4.事業を成長させるためのフレームワーク3つ
ここまで、本当にやりたい仕事を見つけるためのフレームワーク2つ、商品開発に役立つフレームワーク3つ、倒産しない会社をつくるためのフレームワーク1つの合計6つのフレームワークを解説してきました。
新規事業でおさえておきたい9つのフレームワークの残りの3つのフレームワーク。
それは事業を成長させるために必要なフレームワーク3つです。
事業を軌道に載せ、成長させる。
これが最も重要で地味ですがやりがいのある仕事です。
4-1.ABC分析
まずはABC分析。顧客を良い、普通、悪いに分類するフレームワークです。
限られたスタッフのなか事業を成長させるためには顧客の区別が必要となります。
会社には様々なお客様が存在します。営業マン任せになっているとなんとなく話しやすいお客様や近くのお客様にコンタクトをとりがちになります。
でも会社にとって最も大切なのは粗利益を多くもたらしてくれるお客様です。
限られた営業スタッフはより多くの粗利益を落としてくれるお客様のもとに何度も何度も接触しなければいけません。
そのお客様を会社が特定し、管理するためにお客様を粗利益額でABCに分けることが必要となります。
会社にとって上位30%の粗利益を落としてくれるお客様をA客。31%〜70%の粗利益を落としてくれるお客様をB客。それ以下をC客とするのです。
営業マンはA客のみの自宅に訪問し、様々な提案やキャンペーン情報をお伝えする。
B客はテレアポ舞台に任せて、トップ営業マンは必要時しか対応しない。
C客は放置して、より高い粗利益をもたらしてくれるお客様と入れ替える。
こういうとお客様を区別するとか入れ替えるなんてひどいことを言うものだとお思いの方もいらっしゃると思いますが、スタッフの給料を年々上げていきたいのなら、会社の粗利益も年々上がらないと数字上無理なのです。
だからお客様だってより高粗利益をもたらしてくれるお客様に入れ替えをしていくことが会社にとって必要なことになります。
このABC分析のフレームワークを知って顧客管理をしている会社とそうでない会社とでは10年後の経営に大きな差がでていることは明らかです。
お客様を粗利益で分類し、対応を変える。
これは非常に重要です。
4-2.ボトルネック理論
事業がうまくいかない理由としてどこかしらボトルネックになっているところがあるということがよくあります。
これはTOC(Theory of Constrains:制約理論)とも呼ばれ、事業のどこかしらの部分に存在するボトルネックが全体の制約を決めているということです。
具体的な例を挙げると、集客が毎月500件、営業が毎月300件まわれてそのうち60%が成約できる営業組織、そして工事可能数が300現場という建設会社があるとします。
500件も新規の見積もり依頼が来るのに、営業マンが不足していて300件しか見積もりできません。ここがボトルネックです。
さらに見積もりに行った300件のうち60%しか成約しないので、180件しか受注できず、300現場もこなせる職人部隊が今度は人員があふれてしまいます。
この会社ではボトルネックは営業マンの営業可能数です。
対応策としては人員を増加して500件回れるようにするか、やり方を効率化して500件見積ができるようにするかです。
つまり現状のままだとボトルネックになっている営業可能数300に全体が引っ張られてしまい、集客できた500件のうち200件は見積ができないという理由で断らなければならなくなり、工事可能な300件のうち現場の受注ができなかった120件分は仕事がなく、人を休ませることになります。
なので、この会社では営業可能数を500にしていくことがボトルネックを解消する手段です。
このようなボトルネック理論はどこの会社にも存在します。
全て社長が現場などに関わっている時点で、社長自身がボトルネックになっているという事実にも気づいてください。
4-3.PDCA
事業を成長させるために必要なフレームワークの最後はPDCA理論です。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(改善)
を繰り返し行い改善をしていく手法です。
このPDCAをうまく回すには当然全て数字で管理していることが条件になります。
数字で計画を立て、それを実行し、数字で検証して改善をする。
この繰り返しで事業は成長していきます。
何をするにもまずは数字から。会社の基本は数字です。
数字がなくては改善も何もありえません。
だから常に目標値を設定し、それが目標通りに実行されているか計測し続ける。
その計測結果を元に何が原因で目標が達成できなかったか、または何が原因で目標を大きく上回ったのかを検証し、次の施策に活かす。
この繰り返しが事業を拡大させるのに最も役に立ちます。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
経営のプロが教える新規事業を成功に導く9つのフレームワーク。
そのどれもが欠けても事業はうまくいかないと思います。
またビジネスのフレームワークはこの9つ以外にもたくさんありますし、
新規事業を行う上で役に立つフレームワークはこの9つ以外にも存在します。
ですが、わたしが実際に多くの事業に携わってきた経験からすると今回の9つのフレームワークをしっかりと新規事業に取り入れることができたらライバルに圧倒的にさをつけて勝つことは十分可能です。
しかもあなたのビジネスがある特定のエリアに限定されるようなエリアビジネスの場合、この9つのフレームワークをしっかりと新規事業に取り入れているライバルは皆無だと思いますし、もしそんな会社があったとしてもポジショニングマップにより、その会社と真逆を行けば、あなたの会社は必ず成功します。
そしてあなたが設定した軸でライバルとは違う強みがあることを正しい言葉でお客様に伝えるだけで良いのです。
ライバルと同じ、業界の仲間と同じはお客様から選ばれる理由を持ちえません。
ライバルとは違うポジションであなたの強みを表現した時に、初めてライバルとは違う価値をお客様に提供できる会社になれるということです。
あなたらしさを商品やサービスにふんだんに盛り込むことをオススメします。
絶対にライバルが真似の出来ない強みは社長であるあなた自身の個性です。
あなたが何故この新規事業を始めるのか、何故その業界に携わっているのか、あなたの人生を振り返るのと同時にあなたが成し遂げたい未来を想像してそれをお客様に伝えてあげてください。
きっとあなたのキャラクターがあなたの商品やサービスをより高めてくれるでしょう。
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