アウトソーシングのメリットと導入決定までの3つのステップ

アウトソーシングを初めてする時には 「様々なメリットがあるとは聞いているが、実際にどんなメリットがあるだろうか?」 と言うことが気になると思います。

でもアウトソーシングを始めるには、メリットだけ知っていればよいわけではありません。

アウトソーシングにもメリットもある一方、デメリットもあるからです。 それらを知ってから実際にアウトソーシングを検討や実行をした方が良いのです。

だからこそアウトソーシングのメリット・デメリットをお伝えしていきます。

また実際にアウトソーシングをする時の基準、業者選択や管理手法までお伝えします。

アウトソーシングをすると本当にメリットがあるのか?

上記の通り「アウトソーシングをするとメリットがあるよ」と言う話をよく聞くけれど、他社ではメリットがあったとしても自社にとってメリットがなければ意味はありません。

ここでは本当に自社にとってメリットがあるかを調べるために、そもそもアウトソーシングとは何かと言うところからお伝えしていきます。

それらを知ることによって本当にメリットあるのかどうか、デメリットがあるのかどうかなどを知る事ができるのです。

そもそもアウトソーシングの意味とは?

アウトソーシングとは「元々社内で行っている業務を社外の業者などに依頼すること」です。

外注や外部委託と言い換えることも出来ます。なお外注と言うと製造業の下請け会社のイメージがあるかもしれませんが、アウトソーシングは外注とほぼ同義です。

最近では管理部門(経理や総務)の外注やITやシステム開発の外注などを含めてアウトソーシングと言うことが多くなっています。

アウトソーシングの別の見方をすれば社内ですべての業務が出来るのであれば、アウトソーシングはしなくても良いという面もあります。

それでもアウトソーシングする企業が多いのは、それだけの目的がありメリットがあるからだと想像がつきます。

なぜアウトソーシングをするのか?

では「なぜアウトソーシングをするのか?」と言う点です。それは企業によって様々です。 例えば

  • 社内業務をアウトソーシングすることによって、個々の能力や育成方法に左右されず均一化したいから
  • 社内で業務を完結させるより、アウトソーシングをした方が経費を削減できるから
  • ネットワークサーバーの管理は自社では費用面、技術面で難しく専門業者にアウトソーシングしたいから
  • 生産・受注の増加または増減に対応するためにアウトソーシングを使いたいから
  • 社内の業務が複雑化しているので簡素間したいから
  • レベルの高い顧客対応をしたいから

などです。

アウトソーシングや外注と言うと「経費を削減するため」と言うものをイメージする方も多いかもしれませんが、それだけではありません。

様々な目的で使われています。 つまりアウトソーシングとは「単に外部に業務を委託する」ということにとどまらず、「業務を委託することによって企業にとって様々なメリットがある」ことが求められます。

アウトソーシングの目的をはっきりさせメリットとデメリットをトータルで考え、自社にとってメリットがあるかどうかが判断基準となるのです。

アウトソーシングをする企業の目的とは?

アウトソーシングをする企業の目的を具体的に見ていきましょう。

経費削減・費用削減

第一に考えられるのが「経費削減、費用削減」です。

社内で行う場合より外部に委託したほうが、費用が低くなる場合です。 例えば経理の会計ソフトへの入力や給与計算は、アウトソーシングしたほうが効率的な場合もあります。

また製造業で生産の季節変動がある場合に、生産量が多い時期に社員数を合わせていては少ない時期に人余りが起きてしまいます。

そんな時に生産の少ない時期に社員数を合わせて、増加した分はアウトソーシングをするという方法を取ることが出来ます。

高度な技術や設備・施設が必要な場合

次の目的として考えられるのが、高度な技術や高価な設備・施設が必要な場合です。

例えば、大掛かりなシステム開発です。このような高度な技術の場合、社内の技術では対応できません。

また、高価な生産システムが必要な場合も、社内のシステムでは対応できず社外に助けを求めることになります。

効率化

次に業務の効率化が目的になることもあります。

成長している企業では、社員数が増えて業務が複雑化しているケースも多くなります。業務フローが整えっていないので、ミスや不正などが起きやすい状態になります。

そんな時に業務をアウトソーシングすることによって、業務改善・効率化につながることもあります。

アウトソーシングをした場合のメリット

実際にアウトソーシングをした場合のメリットは何なのでしょうか?

まずは上記の目的を明確にしておく必要があります。目的が明確ではないと受けるメリットもないことになってしまうからです。

アウトソーシングをした場合のメリットは

  • 経費削減・費用削減
  • 新技術への対応
  • 高度な設備の活用
  • 生産や受注の増減への対応
  • 法律や業界ルールの改正への対応
  • 業務の改善
  • 品質の向上や改善
  • 顧客対応の向上や迅速化

などが考えられます。

上記で書いたように絶対にアウトソーシングしなければならないという法律やルールがあるわけではありませんので、必要がなければ、すべて社内で行えばよいのです。

しかし上記のようなメリットがあるので、アウトソーシングを検討・実行する企業があるのです。

アウトソーシングをした場合のデメリット

ではアウトソーシングをした場合のデメリットも考えておきましょう。

どんな物事にもメリットもあれば、その反面としてメリットもあります。アウトソーシングのメリット部分ばかり見て、デメリットを想定せずに開始してしまうと、後々トータルで見たらデメリットの方が大きかったということにもなりかねません。

アウトソーシングをした場合のデメリットは

  • 経費・費用の増加
  • 管理の必要性の増加
  • ノウハウや技術の育成がおろそかになる
  • ノウハウや技術の社外流出の恐れ
  • 社員育成の遅れの恐れ
  • 余剰人員の発生
  • 業務の複雑化
  • 品質の低
  • 顧客対応の低下

などが考えられます。

一番のメリットであるはずの経費削減も、しっかりとした目的のもとアウトソーシングしないと

「実は社員で行った方が、費用が少なくて済む」
「アウトソーシング先とのやり取りやアウトシーシング管理・外注管理に手間がかかり余計に時間がとられる」

などと言うこともあり得ます。 また、社外に依頼することになるので、

  • 社内のノウハウや技術が残らない
  • そもそもノウハウや情報流出の恐れがある
  • アウトソーシング先の能力が低く、品質や顧客対応が悪くなる

こともデメリットとして考えられます。

このようにメリットだけでなくデメリットもしっかりと把握または想定する必要があるのです。

アウトソーシングを導入するまでの3つのステップ

アウトソーシングをするかしないかの決定をするまでには大きく分けると3つのステップがあります。

このステップを踏むことによって良し悪しの判断をして導入を決定をすることが出来るようになります。

では、実際に3つのステップを、順を追って見ていきましょう。

(ステップ1)現状把握・現状分析をしよう!

アウトソーシングは、そもそも社内の業務を社外に委託することによってメリットを享受しようとするものです。

「この社内の業務は社外に委託したほうが良い」と判断する必要があります。 そのためには、そもそも社内の業務を知っている必要があるのです。

つまり、現状把握・現状分析が出来ていなければ、良いアウトソーシングはできないということになります。

社長またはアウトソーシングの可否を決定する責任者が会社のすべての業務を把握している場合は、判断もすぐに出来るはずです。

しかし、アウトソーシングを考える会社と言うのはある程度の規模になっており、社員数の増加・業務も複雑化しているので、すべての業務を把握出来ていないような場合がほとんどです。

アウトソーシングの判断・決定をするのが社長であっても、部門長であっても現状把握・現状分析がまずは必要となります。

例えば社長であれば一つの部門の意見だけでなく、他の各部門の意見も聴取して現状を把握するようにします。

また、部門長が決定権限がある場合でも、自分の部署のメリットだけでアウトソーシングを決めたら会社全体ではデメリットが大きかったということの無いように、自部門だけでなく他部門も含めた現状把握が必要となるのです。

(ステップ2)将来像の設定をしよう!

現状把握をして終わりではありません。

将来像の設定をする必要があります。現状把握・現状分析で、「このような課題や改善点がある」と把握出来ているはずです。

では、その課題や改善点をクリアした将来像はどのようになっているかを明確にしましょう。その将来像(理想像)を明確にすると、また課題や改善点をどのようにクリアにするべきかが再認識できるようになります。

その「課題や改善点をどのようにクリアするか」と言う過程が、 「社内で出来る」のか」 「外部に委託するのか(アウトソーシングするのか)」 の判断材料になっていくのです。

ここの段階で将来像がないまま決定してしまうと、前に書いたように、「アウトソーシング業者に経費削減できるからと言われてやってみたけど逆に経費がかかってしまった」と言うことにもなりかねないのです。

そのために現状把握の後、将来像を明確にすることが必要となるのです。

(ステップ3)アウトソーシングを導入するかどうか決定しよう!

現状把握・現状分析と将来像の設定が出来れば、アウトソーシングするべきかどうかの判断・決定が出来るようになります。

ここの判断基準としては、 一時的なメリットだけでなくデメリットも勘案して、トータルとして会社にメリットの方が大きいと言う場合 にアウトソーシングの決定をするということになります。  

ここまでの3つのステップをすることによってしっかりとした判断・決定が出来ます。

逆にこの3つのステップを疎かにすると、後々「アウトソーシングしたのは失敗だった」ということになる恐れがありますので、それを避けるためにもこの3つのステップを確実に行ってください。

事例でみよう!アウトソーシングの決定まで3つのステップ

では、上記で見てきたアウトシーシングの決定までの3つのステップを理解するために、事例形式で見ていきましょう。

【通販会社のA社の場合】

現在の会社の状態:

数十名の会社ですので、皆が電話受付をしたり、倉庫内業務や配送業務をしたりしています。ここ数年は、売上が好調であり、業務が拡大してきています。

社長、スタッフの考え:

「どこの業務でも良いので、一部業務をアウトソーシングしたい」と考えています。また、現場の責任者たちもこのままでは、業務をさばききれないので、「倉庫業務をアウトシーシングしてみては?」と感じています。

でも、社長も現場の責任者も、なんとなくアウトシーシングしたいと思っているだけで、本当にメリットを享受できるか検討していない状態です。

(ステップ1)現状把握・現状分析をしよう!

社長と責任者が集まり現状把握をしていきました。 そうすると、社長は「成長を維持しながら、経費削減したい」と考え、責任者は「過剰な業務すぎるので、改善をしたい」と考えており、同じ「アウトソーシングをしたい」と思っていても、「違い」があることが判明しました。

(ステップ2)将来像の設定をしよう!

次に、将来像として「どうなっていたいのか?」を突き合わせて行きました。そこの中で、「成長を維持ながら、軽費削減もして、業務改善もできる方法」を検討していきました。

その分析をしていくと、「倉庫内の業務」より、実は「電話の受付業務」が業務の時間も、人経費も多く掛かっていることが分かりました。

(ステップ3)アウトソーシングを導入するかどうか決定しよう!

ステップ2より「電話の受付」としてアウトシーシングする業務と決定しました。これにより、社員の業務が時間の取られる電話受付から他の業務に力を入れることが出来るようになりました。 よって、

  • 経費の削減
  • 成長の維持
  • 業務の改善

と言う目的を達成することが出来たのです。 このように、3つのステップを取ることによって、失敗のないアウトシーシングの決定ができやすくなるのです。

アウトソーシング会社を探そう

アウトソーシングをすると決定したとして、次にはアウトソーシング先を探す必要があります。

アウトソーシング先自体は、インターネットや電話帳で調べてもたくさんありますので難なく探せそうな気がします。

でもアウトソーシング先も様々な業者がいるので、自社にとってぴったりなアウトソーシング先を探すことがポイントになります。 では、どのようにアウトソーシング先を探すのでしょうか?

目的を明確にする

アウトソーシング業者もそれぞれ、得意分野・不得意分野があります。 例えば

  • 「総務・経理などの管理部門が得意」
  • 「電話オペレーションが得意」
  • 「工場などの生産系が得意」
  • 「ITやシステム開発が得意」

など業者によってそれぞれなのです。 自社の目的が明確になっていれば、その分野が得意なアウトソーシング業者を探せば当たり外れが少なくて済むのです。

逆に目的が明確になっていないとなかなか見つからなかったり、不得意分野の業者に依頼しまったりという失敗もある可能性もあるのです。

業者を絞り込む

「総務・経理などの管理部門が得意」と言う場合でも、

「給与計算をアウトソーシングしたいのか」
「採用活動をアウトソーシングしたいのか」

によって、業者を分ける方が良い場合もあるからです。 このように目的が明確にした後にアウトソーシング業者を探してみてください。

もちろん物を買う場合と同じように、すでに使っている人(会社)に聴いてみたり、複数の会社に当たってみたりすることは必要です。

アウトソーシング決定後の注意点

アウトソーシング会社との契約

アウトソーシング会社の選定が出来たら、契約となります。

この時にも注意が必要です。 アウトソーシングと言っても様々な契約形態が考えられるからです。

「そもそもどこまでやってくれるのか」
「成果物は何か」
「管理監督は誰がどのように行うのか」

などをはっきりさせておく必要があります。そうしないと後に「このようなはずではなかった」と言うトラブルが起きてしまいます。

アウトソーシングの契約形態として代表的なものが

  • 業務委託契約(準委任契約など)
  • 業務請負契約
  • 派遣契約

などが考えられます。

業務委託契約は、アウトソーシング先は委任された業務の遂行に責任を負うことになります。

つまり、成果物の責任は依頼企業側となります。 一方、業務請負契約ではアウトソーシング先は成果物に責任を負うことになります。

また、派遣契約の場合は、依頼企業は管理監督を行うこととなります。 このようにまずはアウトソーシングの内容と契約書の内容をしっかりと結ぶことが大切です。

アウトソーシング管理

アウトソーシングをすれば、「すべての業務を丸投げできる」と思われがちですがそれではありません。

アウトソーシングの管理体制も必要となります。 想像していた結果と違うとなっても後の祭りです。しっかりとアウトソーシング管理をしましょう。

管理すると言っても、契約形態によって管理方法は変わります。

電話受付業務の場合

通販会社で電話の受付業務を業務委託契約で、電話オペレーション会社にアウトソーシングしているとします。

業務委託契約ですので、オペレーターの管理監督はアウトソーシング先(電話オペレーション会社)です。 この時に電話対応が悪ければ、自社の売上が落ちてしまいます。

でも直接オペレーターの管理はできないので、アウトソーシング先(電話オペレーション会社)に改善を求めることになります。

ここでの管理は、「アウトソーシング先の質の良し悪し」を判断する管理となります。場合によっては、別の先を探して切り替えるなどの処置まで考える必要があります。

システム開発の場合

業務請負契約でシステム開発を依頼したとします。

この場合もシステム開発の要員自体の管理はできません。管理出来るのはその成果物(開発されたシステム)が良いかどうかです。 ここでの管理は、「成果物を基準通りに提供されているかどうか」の管理となります。

つまり「成果物が基準どおりに提供されているか」と言う検収ができる管理体制が必要となります。

  以上のように、上記2つの場合はアウトソーシング先の管理をどのように行うのかがポイントです。

上記の電話オペレーション会社の例で 「業務は丸投げしているから、後は請求書と支払いの管理だから経理部門が管理を行えばよい」 と言っても、業務の質の良し悪しは経理部門では判断つきません。

本来であれば営業やマーケティング部署が管理するべきとなります。

業務委託契約の場合の例も同様で、成果物の良し悪しを判断出来る部署が管理することが必要となります。

また、派遣契約で人員が派遣されてくる形態もあります。この場合は管理監督は、当社になりますので直接的な管理が必要となります。

その際に一般の社員とどこまで同じで、どこが違うのかなどを明確にしておくほうが良いのです。

このようにアウトソーシングするまでは真剣に検討しても、その後の管理がおろそかになればいずれマイナスになってしまいます。

アウトソーシングは決定して、実行された後の管理も重要となります。

まとめ

アウトソーシングは、上手に活用すれば企業にとって大きなメリットをもたらすことになります。

その一方でデメリットもあります。 一般的には「メリットもデメリットも両方考えましょうね」と言うレベルかもしれません。

しかしアウトソーシングはそれだけでの検討では足りません。

それはアウトソーシングに失敗すれば費用面だけでなく、会社全体の業務にも大きなマイナスにもなる可能性があるからです。

これまで書いてきたように、

「目的を明確にすること」
「3つのステップで選定すること(現状把握・現状分析⇒将来像の設定⇒アウトソーシング先の決定)」
「アウトソーシング管理すること」

をしっかりと行ってください。

それによってメリット・デメリットを把握するだけなく、より良いアウトソーシングにした結果が得られると思います。

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