【社員教育のコツ】会社に貢献できる社員を育成するために…

会社は事業を生み出し、成長させ、より多くの収益を継続的に獲得することを目的としています。

この普遍的な目的のために経営者と社員双方が、それぞれの職責を果たし、業務を遂行します

そして、「より多くの収益を継続的に獲得する」ためには、職責に応じた能力を持つ人材が必要です。

求める能力を十分備えた人材を社員として雇うことができればよいですが、そんな人とはめったに居ません。

よって、社員を教育・育成する必要がでてきます。

Contents

社員教育の意義とは?

会社が社員に対して期待することと、社員が会社に期待することは異なります。

「会社・事業を成長させる」という同じ目標に向かっているようにみえますが、全く同じベクトルで動いている訳ではありません。

会社の経営者やオーナーは、社員に対し「会社業績の向上に貢献して欲しい」と思っていますが、一方社員の方は「会社での仕事を通じて、より多くの報酬を得ること。そして自己を成長させること」を目的としています。

もちろん、敵対する関係ではないですが、利害関係にあることは否定できません。

「社員教育」を考える場合には、個々の社員が成長した結果として「会社業績の向上」が実現できるか?が重要になります。

「会社業績の向上」に繋がらないものは意味がありませんし、「社員の成長」を無視した制度は社員の動機付けが弱く、あまり効果が上がらないでしょう。

「社員教育」によって、

「社員の成長」→「会社業績への貢献」→「評価・報酬制度への反映」→「社員の成長意欲(モチベーション)向上」→「社員のさらなる成長」→「会社業績への貢献」

という循環が構築できれば、会社・社員双方に有益なものとなります。

このように、「社員教育」を行う意義は、「社員の成長」を通じて「会社業績の向上」を実現することにあります。

業績向上に貢献できる人材の水準まで、社員の能力を引き上げることと言い換えることもできます

そして、この「社員教育」を通じて、会社と社員の目的の“微妙な”違いを双方が理解し、「社員の成長」と「会社業績の向上」の両方が実現できれば理想と言えるでしょう。

社員教育・人材育成の実態と課題

社員教育・人材育成の実態をみていきます。

以下、独立行政法人 労働政策研究・研修機構による「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査/平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)」(企業調査、労働者調査)のデータをいくつか紹介します。

日常の業務のなかで仕事を効果的に覚えてもらうための取り組み(OJT:On The Job Trainingの実施状況)

【日常の業務のなかで、従業員に仕事を効果的に覚えてもらうために行っている取り組み】(複数回答 n=6,852) (単位:%)

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

  • 「とにかく実践させ、経験させる」(59.5%)
  • 「仕事のやり方を実際に見せている」(55.2%) 
  • 「仕事について相談に乗ったり、助言している」(50.8%)

以上3項目が半数以上であった。

企業規模別にみると、規模の小さい企業では、「会社の理念や創業者の考え方を理解させる」、「業務に関するマニュアルを配布している」などの取り組みは、規模の大きい企業に比べ回答割合が急激に低くなっている。

業種別にみると、「とにかく実践させ、経験させる」、「仕事のやり方を実際に見せている」の回答割合はいずれの業種も共通して割合が高くなっているが、「情報通信業」や「教育、学習支援業」、「医療、福祉」などの業種では「仕事について相談に乗ったり、助言している」の回答割合が最も高くなっている。

OJTに対する評価(うまくいっているか)

【OJTに対する評価 】(単位:%)

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

  • 「うまくいっている」が5.8%
  • 「ある程度うまくいっている」が71.9%

【うまくいっている企業】が全体の8割近く(計77.7%)を占めたが、「うまくいっている」と言い切れる企業は10%に満たない。

OJTに対する評価が高い企業ではどのようなOJTに取り組んでいるのか

【OJTの具体的な取り組み内容(OJTに対する評価別)】 (単位:%)

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

【うまくいっている企業】と【うまくいっていない企業】との間で実施割合に最も大きな差があった取り組みは、「仕事について相談に乗ったり、助言している」で、【うまくいっている企業】の方が、回答割合が13.7ポイント高い。

次に差が大きかったのは「仕事のやり方を実際に見せている」で、【うまくいっている企業】の回答割合が8.8ポイント高い。

通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修(OFF-JT)の実施状況

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

従業員の能力開発・向上を図るため、業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修(OFF-JT)を「実施した」ところは39.9%で、「実施しなかった」が59.2%だった。

規模別にみると、実施した企業の割合は規模が大きくなるほど高くなっており、「9人以下」では22.8%にとどまったが、「100~299人」と「300人以上」では7割以上となっている(それぞれ71.9%、79.1%)。

業種別にみると、

  • 「教育、学習支援業」(50.4%)
  • 「医療、福祉」(51.3%)
  • 「複合サービス事業」(59.2%)

で比較的、実施した企業の割合が高く、それぞれ実施割合が5割以上となっている。

OFF-JTに対する支出額

【平成27年度において支出したOFF-JTにかかる費用の従業員一人あたりの額】(単位:%)

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

従業員一人あたりの支出額は、「1万円~5万円未満」(31.7%)の企業が最も多く、「1,000円~5,000円未満」(31.1%)がほぼ同割合で次いで多い。

支出額の平均は14,345.4円だった(n=2,013)。

OFF-JTに対する評価

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

  • 「効果があった」が23.4%
  • 「ある程度効果があった」が65.3%
  • 「あまり効果がなかった」が7.8%
  • 「効果がなかった」が0.3%

「効果があった」と「ある程度効果があった」を合わせた【効果があった】と考える企業が9割近く(計88.7%)を占めた。

規模別にみると、いずれの規模でも【効果があった】と考える企業割合が高くなっており、「9人以下」の小規模企業でも8割を超える企業が、効果があったとしている(計81.3%)。

OFF-JT費用の実績の推移と今後

【過去3年間のOFF-JT費用の実績の推移】 (単位:%)

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

過去3年間の実績の推移をみると(OFF-JTの「実績なし」と回答した企業と無回答を除いて集計、n=3,349)、

  • 「増加した」が34.7%
  • 「増減なし」が58.5%
  • 「減少した」が6.8%

となっており、費用を増やした企業は3割を超える。

【今後3年間のOFF-JT費用の見込み 】(単位:%)

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

今後3年間の増減見込みは、

  • 「増加させる予定」が27.8%
  • 「増減なしの予定」が29.2%
  • 「減少させる予定」が1.1%
  • 「実施しない予定」が33.7%

となっており、割合としては「実施しない予定」が最も高くなっているものの、3割近い企業が増加させる予定としている。

平成27年度における自己啓発支援の状況

【平成27年度に従業員の自己啓発に対する支援を行ったか】

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

従業員の自己啓発3に対する支援を行ったかどうか尋ねたところ、「行った」が30.3%で、「行わなかった」が68.0%となっている。

規模別にみると、規模が大きくなるほど「行った」とする割合は高くなっており、「9人以下」ではほぼ2割にとどまるが(19.9%)、「300人以上」では6割近く(58.2%)にのぼった。

業種別にみると、

  • 「金融業、保険業」(57.1%)

が最も支援を行った企業割合が高く、

  • 「医療、福祉」(46.1%)
  • 「教育、学習支援業」(42.7%)

でも4割以上の企業が行ったと回答した。

自己啓発支援に対する支出額

【平成27年度に従業員の自己啓発支援に費用を支出した場合の従業員一人当たりの支出額】

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

従業員一人あたりの支出額を求めたところ、「1,000円~5,000円未満」(35.5%)が最も多く、次いで「1万円~5万円未満」(20.5%)が多かった。支出額の平均値は10,006円(n=1,551)となっている。

支援の内容は、「受講料などの金銭的援助」(78.7%)が最も回答割合が高く、次いで「就業時間の配慮」(32.1%)、「社内での自主的な勉強会等に対する援助」(21.7%)などの順で割合が高かった。規模別にみると、「教育訓練休暇(有給、無給の両方を含む)の付与」の実施割合は規模が小さいところほど高い。

人材育成・能力開発における課題

【人材育成・能力開発における現在の課題(複数回答) 】(単位:%)

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

「指導する人材が不足している」(33.2%)が最も回答割合が高く、次いで「人材育成を行う時間がない」(32.7%)、「鍛えがいのある人材が集まらない」(30.7%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(29.5%)などの順で割合が高かった。

規模別にみると、規模が大きくなるほど

  • 「指導する人材が不足している」
  • 「人材育成を行う時間がない」
  • 「人材を育成しても辞めてしまう」

などの回答割合が高くなっており、「300人以上」になると「指導する人材が不足している」と答える企業が6割近く(58.2%)に達する。

次に労働者への調査結果をみてみます。 

【人材育成・能力開発の取り組み(労働者調査)】

能力を高めてきたことによる変化

これまで仕事をしていく上での能力を高めてきたことがどのような変化をもたらしたか?

①いまの会社への定着意欲

【いまの会社への定着意欲】が高まったかどうかでは、「高まった」とする割合は【正社員】が6.1%で他の雇用形態よりもわずかではあるが、高くなっている。

「高まった」と「やや高まった」を合わせた割合でみると、【正社員】(計21.9%)と【嘱託】(計24.4%)は20%以上となっているが、【契約社員】(計14.8%)と【パートタイマー・アルバイト】(19.9%)は20%に達していない。

②仕事に対するモチベーション

【仕事に対するモチベーション】が高まったかどうかでみると、「高まった」とする割合は【正社員】が6.3%で他の雇用形態よりもわずかではあるが、高くなっている。「高まった」と「やや高まった」を合わせた割合でみると、【契約社員】(計17.3%)だけが20%に達していない。

③専門性

【専門性】が高まったかどうかでみると、「高まった」とする割合は【正社員】が8.9%で他の雇用形態よりもわずかではあるが高くなっており、「高まった」と「やや高まった」を合わせた割合では【嘱託】(計37.0%)が最も高い割合となっている。

④仕事の幅

【仕事の幅】が広がったかどうかでは、「広がった」とする割合は【正社員】が10.5%で最も高くなっており、「やや広がった」と合わせ約4割が広がった実感をもっている。

能力を高める上での課題

【能力を高める上での課題(複数回答)】 (単位:%)

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(平成27年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

いずれの雇用形態も「特に問題はない」との回答割合が最も高かったが、【正社員】ではその次に「忙しすぎて、教育訓練を受ける時間がない」(27.1%)の回答割合が高く、以下、「従業員の間に、切磋琢磨して能力を伸ばそうという雰囲気が乏しい」(22.4%)、「従業員にとって必要な能力を、会社がわかっていない」(20.7%)などの順で続いた。

会社規模別にみると、「9人以下」では、「特に問題はない」とする人が半数(52.6%)を占めた。

一方、

  • 「忙しすぎて、教育訓練を受ける時間がない」
  • 「仕事に必要な技能・知識について十分な指導をしてくれる上司や先輩が身近にいない」
  • 「従業員に必要な能力を、会社がわかりやすい形で伝えてくれない」

といった項目の回答割合は、おおむね規模が大きくなるほど高くなっている。

次に、教育研修費用に焦点を当てて、実態調査の結果を紹介します。

参照元:産労総合研究 「2017 年度(第41 回) 教育研修費用の実態調査」(2017 年6~8 月)

教育研修費用総額と従業員1人当たりの教育研修費用

1社当たりの教育研修費用総額は、増加傾向にあり、企業規模による差が大きい。

従業員1人当たりの教育研修費用は、規模別にみると、

  • 1,000人以上企業:39,837円
  • 300~999人企業:36,180円
  • 299人以下企業:33,520円

となり、大企業、中堅企業は減少したものの、中小企業の増加の伸びは大きかった。

出典:産労総合研究 「2017 年度(第41 回) 教育研修費用の実態調査」(2017 年6~8 月)

教育予算の増減状況

各回答企業の2016年度と2017年度予算を比較してみると、

  • 予算が増加した企業は50.4%
  • 減少した企業は29.6%
  • 増減なしの企業は20.0%

であった。

また、予算が増加したと回答した企業の平均増加率は20.7%で、減少率の平均は12.2%。

出典:産労総合研究 「2017 年度(第41 回) 教育研修費用の実態調査」(2017 年6~8 月)

各種教育研修の実施状況

2017年度の予算で実施する予定の教育研修についてみると、階層別教育で実施率の高いものとしては、「新入社員教育」が93.2%で例年どおりトップとなった。

次いで、

  • 「新入社員フォロー教育」78.8%
  • 「初級管理者教育」74.2%
  • 「中堅社員教育」73.5%

となっている。

次に、職種別・目的別教育についてみると、前回と同様「OJT指導員教育」の実施率が最も高く49.2%であった。

次いで、

  • 「CSR・コンプライアンス教育」40.9%
  • 「メンタルヘルス・ハラスメント教育」39.4%
  • 「選抜型幹部候補者教育」38.6%

とつづく。

出典:産労総合研究 「2017 年度(第41 回) 教育研修費用の実態調査」(2017 年6~8 月)

出典:産労総合研究 「2017 年度(第41 回) 教育研修費用の実態調査」(2017 年6~8 月)

社員教育・人材育成の目的とロードマップ

 社員教育の目的は何でしょう?

それは社員個々の能力を引き上げることに違いありませんが、その先にあるのは「会社業績への貢献」です。

「会社業績」とは「収益向上」です。

「会社の収益向上」に結びつかない「社員教育」は本来除外されるべきものです。

こう考えると「社員教育」の結果として、「収益貢献」が達成されたかを測る仕組みが必要になります。

そして、社員の成長段階・経験年数により、最適な役割を担ってもらうように制度設計しなければなりません。

「社員教育」→「業務遂行」→「収益貢献」

というサイクルを回し、「収益貢献」の結果から「業績評価」を行い、キャリアパス(配属、昇進・降格など)を考えていきます。

よって「社員教育」は、「業績評価」や「キャリアパス」などの制度と一体で構想・計画することになります。

目的とする「収益貢献」ですが、会社には利益や売上に直結しない職種も数多く存在するので、全て横並びで比べることはできません。

また、社員といっても職責・職位・経験など多種多様でしょうから「社員教育」も一律に決めることはできません。

そこで、「社員教育」を設計する際には、社員を分類・区分し、それぞれに対して教育プログラムを考えていきます。

これら分類した社員は年々経験を積んでいき、職位も変わっていくので、「職位・経験」と「教育プログラム」をマッピングさせることになります。

そして、「職位・経験」毎の「職責・職種」を区分し、この2つの軸をベースに設計していきます。

分類した職位・階層毎の目的とポイントをまとめてみます。

次に「教育プログラム」の中身についてみていきます。

ここでもプログラムを分類し、カテゴリーから考えると分かりやすいでしょう。

ただし、精緻に正しく分類することが目的ではないですし、明確に分けられないものも多いので、必要以上に時間をかけないようにしたいです。

以下は、5つに分類した例です。

社員階層毎の教育プログラム例

この章では、先に分類した職位・階層毎の教育プログラムの具体例を考えてみたいと思います。

先に仮設定した「5つのカテゴリー」を具体的な教育テーマに落とし込み、「5つの職位・階層」毎にマッピングしたものを例示していきます。

以下の例示は、あくまで教育プログラム案ですので、会社個別の状況によって異なります。

重要なことは、まず全体像を描く(設定する)ことです。

必要な能力と教育テーマを洗い出して、体系化することから検討していくとよいでしょう。

新入社員

重視すべきは基礎的な内容の理解で、特に

  • 「自己管理・自己啓発」
  • 「ビジネス知識」
  • 「思考力・考え方」
  • 「コミュニケーション」

について習得する。

若手・中堅社員

重視すべきは、

  • 「ビジネス知識」
  • 「思考力・考え方」
  • 「コミュニケーション」
  • 「計画構想力・実践力」

の分野で、実務に役立つ内容を習得する。

管理職

重視すべきは、

  • 「ビジネス知識」
  • 「思考力・考え方」
  • 「コミュニケーション」
  • 「計画構想力・実践力」

の分野で、部下育成をはじめ管轄部門の能力を引き上げる「育成する立場」として必要となる内容を習得する。

幹部層

重視すべき分野は、「コミュニケーション」「計画構想力・実践力」で、会社経営を担う役割として必要となる内容を習得する。

また、その他の項目についても広く深い理解が求められる。

以上、社員の職責・職位毎の教育プログラム例を紹介しましたが、より上位の職位・階層を意識して基本から実践へ、実践から指導する立場へとプログラム内容を高度化させて、継続的なものにするよう意識すると効果的でしょう。

社員教育・人材育成のポイントと計画立案にあたっての考慮点

「社員教育・人材育成のポイントと計画立案にあたっての考慮点」についてまとめておきます。

先にもお話したように、「社員教育」の目的は「会社業績の向上に貢献する人材を育成する」ことにあります。

つまり、「会社業績に貢献しない」社員教育は意味がありません。

しかし、個々の社員は会社業績に貢献しなくても、自身が成長できる教育であれば価値を感じています。

この双方の目的を両立させることが、「社員教育」で成果をあげる“コツ”です。

どちらか一方だけが満たされても、どちらか一方が“0点”であれば、期待する効果が得られないのです。

「社員教育」によって社員の能力値が上がり、成長し、その結果として、社員が会社業績に貢献することができれば、最も理想なのです。

全ての社員が満足できる教育プログラムは”ほぼ不可能”に近い

→社員は千差万別、必要な知識・能力を周知し、集団の水準を引き上げることを目指す

新入社員に対する教育は、原則論を半ば強制的に指導する

→原則の理解を徹底した上で、例外的な内容を習得する

教育と自己啓発は異なる

→会社が主導するのは教育であり、自己啓発は動機付けを与え、実践は個人に委ねる

組織的な教育の目標は、バラツキのある社員の能力の平均値を上げること

→会社に大きく貢献できる人材育成は、社員自身の意識と実践の積み重ねが必要

机上の理論教育は実践の場を用意する

→成功体験なくして教育は身に付かな

会社と社員は敵対する関係ではありませんが、仕事に対する両者の目的は異なります。

「社員の動機付け」を意識した「教育プログラム」を設計することが、「会社業績へ貢献できる人材」を育成することに繋がるのです。

まとめ

■「社員教育がうまくいっている」と言い切れる企業は10%に満たない

■「社員教育」の目的は「会社業績の向上に貢献する人材を育成する」こと

■社員は会社での仕事を通じて、「より多くの報酬を得て、自己を成長させること」を最大の目的としている

■「社員教育」によって、「社員の成長」→「会社業績への貢献」→「評価・報酬制度への反映」→「社員の成長意欲(モチベーション)向上」→「社員のさらなる成長」→「会社業績への貢献」という好循環を構築する

■「社員教育」を設計する際には、社員を分類・区分し、目的分野別に分類した教育プログラムを考える

■教育プログラムは、より上位の職位・階層を意識して基本から実践へ、実践から指導する立場へと内容を高度化させて、継続的なものにするよう意識する

 

 

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